春らしく過ごし易いじゃないか、なんて思っていたら。17時過ぎから空は俄かに掻き曇り。それでも大して気にもしていなかったらいきなり大音響の雷鳴が。続けて明らかにこれは尋常じゃない、という雨音がしてきたので非常階段から外を見るともうこりゃ堪らん!というゲリラ豪雨が。それからしばらく雷鳴と共に雨は続き、こりゃもう誰も来れないな、と思っていましたが今日はその予感というか極当たり前な予想は的中してしまい。その代わりと言ってはなんですが、その雨が降り始めた頃から新作アイテムの写真撮影を進めまして、集中してやったので撮影も画像の加工処理も難なく終了。でもそこから昨日の展示会分のオーダーとか並行のニューバランスのオファーが来たので価格と日本で発売されているかどうかとか吟味していたらあっという間に時間が過ぎてしまい、慌ててブログに取り掛かっている次第です。
今日は予告なく昨日届けられてしまったのですが、届いて開封して検品して改めてこれ格好良いやん!!と思った、久々の黒1色スニーカー。しかもこれが巷に溢れるジャーマントレーナーとは一線を画す、大手スポーツブランドのスニーカーにデザインをフィーチャーされていたりするにも関わらず、何故か今までリリースされていなかった新型のジャーマントレーナーなのです。


これはリプロダクションオブファウンドがモディファイしたのではなく、実際にこのままのデザインのオリジナルモデルが存在しているにも関わらず、今迄リリースされてこなかった知る人ぞ知る名品でして、既存のジャーマントレーナーとして知られている物は屋内トレーニング用のソールの物なのに対し、こちらは屋外でトレーニングする為に最初からその仕様でデザインされております。オリジナルはブルーとネイビーを組み合わせた如何にもなヨーロピアンカラーなのですが、そのオリジナルカラーである、という事が服と合うかという事とは別問題である、というのをスニーカーマニアとしての視点からセレクトしているとついつい忘れがち。そういう物はそういう物として、今回は久々に黒いスニーカーに惚れてしまいました。
黒は無難で万能というおかしな思い込みに囚われている方を結構お見受けしますが、スーツにしたところで本来リクルートスーツだとか礼服と言われる物だとかはわが国にしか存在しない、その成立経緯を鑑みるととても恥ずかしいアイテムである、という事をよくよく認識した方が良い残念アイテムでしかありません。礼服は現青山が戦後の情報ソースが新聞だった時代に、サラリーマン以外にスーツの販路を広げるべくモーニングやイブニングやタキシードと日本の喪服としての黒紋付というイメージを組み合わせ、光沢のあるタキシードクロスで冠婚葬祭全てに使える!という触れ込みで寸胴なボックスシルエットのスーツを新聞広告で打ち出した為、新聞の情報への信頼と広告とを区別出来ない民度だった我が国の多くのスーツを着て仕事をしていなかった層がそれならそれ持っていないと冠婚葬祭困る、という事で購入した事から爆発的に普及して今の様になったもの。グローバルスタンダードなプロトコールからしたら噴飯物です。同じ様にリクルートスーツというのも護送船団方式な我が国の企業風土を前提に文化や本来どうあるべきかを検証せずググればトップに出てくる広告も信頼性の高い情報として捉える大学生が、これ着ておけば就活の服装として問題がない、という大手紳士服量販店の広告戦略にうまうまと乗せられた結果、これまたネットという情報伝達がとても早い媒体が一般的になった事から爆発的に広まってしまったもの。黒い服を着ている欧米人、反社かそれに憧れちゃうチンピラか、レストランのウェイターやギャルソン、でなければSPか市街地戦仕様の軍人さんとかぐらいです。
でもこれが不思議な事に靴や鞄やベルトとなると途端に黒はきちんとした色、という事になるから彼等の作り上げた洋装文化というのも不思議です。それと現代においてはモードファッションやミリタリーファッションが身近というか普及しているので、それを無視して単に黒は全て駄目、とかそういう原理主義的な主張は多様性の否定にも繋がりますし、よろしくありません。そもそもかつて(1800年代初頭から実に100年近くもw)欧米の貴族社会でもファッションリーダーたるボー・ブランメルが男の服装は黒に限る!と主張してそれに英国王室の男子全てがファッショニスタ足らんと同調した結果、それこそがオシャレであると欧州の上流階級の男性は真っ黒になってしまった歴史がありますし、人が如何に扇動され易いかはどうにも御し難いのです。現状のアメリカの状況を見ても小さな嘘はバレ易くても自信満々に吹かれる大嘘や大法螺はそうなって欲しいと思う人々の正常バイアスが働いて信じてしまうものなのだというのは理解に難しくありません。
で、今回のこのスニーカー。長々と書いてしまいましたが、ガンダムだって黒いのを偶に見るとこれはこれで良いかも、と思ってしまうものでして、黒には黒の魅力があります。最初に考案された当初はこのソールの丸い窪みが並んでいるところとか、それまでになかった革新的なデザインからデザインそのものが魅了的だったんでしょうけど、アディダスがこのソールの仕様をフィーチャーして(パクって)作られたモデルを見てきている私を含むある程度以上のスニーカーマニアな人にしてみたら新鮮ではありません。ですが、オリジンオブオリジンはこれだっ!!というプロトタイプをリスペクトしてしまうのはこれも一つの漢の浪漫。一連のザクの系譜がガンダムの系譜以上に魅力的なのはそれがMSの原点にして一つの完成形だからでしょう。今迄ずっとリリースされてこなかった屋外仕様のジャーマントレーナーというのは、フィールド仕様のスニーカーの原点的なモデルであり尚且つ陸上トレーニング用とミリタリートレーナーとしてもっと荒れたフィールドでのトレーニング用との融合と進化の証でもあるのですから、そりゃやられちゃいますって。そういう時の私に対しては、自分自身チョロい奴だな、と思いますけどもうそれは仕方がありません。


しかもこれ、他のモデルに対して徹底的に黒くしてあって、BW SPORTS社の注射器の先を並べた様なグリップ力の高いアウトソールを採用し、その上のウレタン層は硬めで独特な丸い窪みが並んでおりますが、それに加えてヒール部分は斜めにカットしてそこにもアウトソールを張って踵部分の摩耗を軽減しております。更に当時としては画期的なのがシューレースを通すホールを摩擦の少ないプラパーツで別途作成しそれを革で挟む事により革に穴を開けず紐の滑りが良いので締緩が容易でフィットし易い仕様になっている事。後のスニーカーのデザインや機能性の発展に繋がる様々なディテールが散りばめられながら、それを黒一色で纏めている事でとても完成度が高く、私見ですがどうにも黒の完成度が高いのでこりゃ黒一択だな、となりました。
そしたらこれ、白とブルー×ネイビーは先行で入ってきたみたいなんですけど、黒は今月迄入荷せず、私は今月納期指定していたので問題ありませんでしたが、同時に作られたらしい紐ではなくサイバーチックに甲を覆うベルクロ仕様のモデルと一緒に上がってきたみたいで、ベルクロ仕様のモデルをセレクトしている大手セレクトショップチェーンでは遅れたので予約を取っていたみたいです。とはいえ、私としてはそこまでモードよりに振るつもりもないので、使いやすいレースアップ仕様のモデルをセレクトしております。むしろこのプラパーツのシューレースホールの方が珍しいですし。ベルクロにするとアディダスにそのまんまあるじゃん、と思ってしまいまして。サイズは41・42・43の3サイズ展開、価格は34,100円(税込)と、全てイタリアンレザーで作られている欧州製スニーカーとしては比較的価格を抑えた設定になっております。是非この週末にチェックしにいらして頂ければと思います。兎に角浪漫溢れる汎用性の高い1足ですので。
という事で明日明後日の週末、皆様のお越しをお待ちしております。今日は入ってきたハリスのボタンダウンシャツも90年代の映画をフィーチャーして復刻された生地のアイテムですので、そちらのチェックも。あ、後合わせて入ってきたパンツも良い感じです。明日のアイテム紹介は今日以上に蘊蓄満載なその生地を使ったシャツの紹介、という事で。お楽しみに。
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posted by mercier at 23:55|
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