過ごし易い気温の1日。日が暮れても曇っているからかそこまで気温が下がっておらず、これなら帰りも快適でしょう。昨日クロージングの出し入れを大幅に進めた、と書きましたが、その結果として秋冬用のクロージングのラインナップが随分と減っており、これはそろそろ真面目に色々取る事を考えねば、と危機感を感じるレベルでした。何しろ秋冬対応の3シーズンスーツ、4型のみ、内訳としてはロイヤル・ロウ1型(3ピース)とアンジェロ・ナルデッリ2型(3ピースと2ピース)、そしてハズバンズ1型(2ピース)ですし、ジャケットに至ってはイタリア製クロージングのテーラードジャケットに至ってはロイヤル・ロウ1型(2B2Pジャケット)とL.B.M1型2色(モールスキンのサファリジャケット)のみとなっております。それに準ずるアイテムとしてザチノリバイブドの秋冬デニムとグレンチェックの2型とラッダイトの縮絨ツィードのジャケット1型とがありますけどそれぐらいですかね。
これがなくなると今まで通りの価格帯ではどうやっても無理になりますので、どうにかして他の所に比べて影響を最小限にする対策を取ろうとは思っておりますが、まずは確実に今の相場値の半額以下レベルで手に入れられるアイテムを押さえておく事をお勧めしておきます。
さて、それ以上にデザインや生地的にカジュアルなジャケット、それはそれで如何にもB.A.Tというセレクトの真骨頂だと思っておりますが、そちらもかなり減っていて、不本意案がら新たにこれはという提案が出来ていないのでそうなっているのですが、どうにもここ数年のコロナ禍中の傾向がよりカジュアルになっていて、結果そういうアイテムが中心になってしまっていたのが要因でもあり。
ただ昨年辺りからコロナ禍前迄ではないものの大人はテーラードジャケット着てジャケパンスタイルがいい感じに出来るのがTPOにもよるけれど年相応の分別、という程度にはカジュアルクロージングの需要は戻りつつあり。まぁスポーティだったりワーク&ミリタリーなアイテムで年相応の分別をとなるとそっちの方が難しいですし、敢えてクロージングを着ようという方はお仕着せではなくビジカジを楽しもうという方やファッションとしてクロージングが好きという方でしょうから、そういった方々への提案としては楽しいのですが、最大の問題は価格です。流石にジャケットで10万円台になると可処分所得とそこに占める服に割ける額というのが問題になる方が多いのは間違いないので。その辺を考えるとここのところはかなりセレクトが難しかった、という事です。
それだけに形としてはベーシックだけれど、これは誰も作らないだろうと確信出来る凝ったオリジナル生地のジャケット、というのはその価格が通る範疇ではかなり少なくなっています。なので本日はそんな凝った生地のジャケットの紹介にさせて頂きます。


東コレ=楽天ファッションウィークの常連になり、よりモード傾向を強めているメアグラティアですが、デザインやディテールの作り込みというよりは他のブランドがやらない生産地や職人と今迄にない生地の提案をするべくデザイナーの発案と職人の意欲と技術を突き合わせて作られたオリジナルの生地にこそこのブランドの魅力はあるのだ、と思っております。それ故にこのジャケットに使われている様なジャガード織りへの新たな挑戦とも言うべき生地の提案は個人的に是非やらねば、と思うのです。
パンツやアウターにアクションペイントを施す事でワンオフ、唯一無二のアーチスティックな1着にするという試みは、アバンギャルドな様で今となってはありがちな表現手法になってしまっております。だって即興で刷毛や筆に色とりどりなペンキを浸けてそれを飛ばす事でペンキの飛沫を服に付けるというのは誰にでも出来ますから。それをアート足らしめるのは偶然が産み出す色彩のユニークさであったり飛び散らかされたペイントのバランスであったりであって、本来アクションペイントを施せば何でもアーチスティックというわけでは無いはず。しかもその評価って現代アートに対する評価にも似て、良く言えば難解、悪く言えばよく判らないけどダイバーシティ的な個性がアートだと主張しているだけ、という事になりかねず。なので私個人としては安易な即興を評価する気になれませんん。それはそれで何とか己のイメージするところを独自の手法で表現しようと四苦八苦している絵描きというか抽象画家の方々と比べるのも失礼だとも思いますし。
ですが、アクションペイントの中にこれ花に見えるよな、という自らのインスピレーションを基にアクションペイントを花を連想させる状態になるようサンプリングを重ね、その秀作を組み合わせて意図的にコンセプトに合ったバランスの良いアクションペイント的なテキスタイルを作ろう、という試みは誰もやっていないオリジナリティ溢れる発想である事は間違いありません。そしてそれを安易に顔料プリント、捺染で表現すると経年変化で擦れはしますが、大部分が落ちてしまえばクオリティが著しく低下し、最初が一番良かったという事になってしまいますし、しっかり染料で含染して染み込ませてしまうとアクションペイントの濃淡を表現出来ません。それをジャガード織りにする事で擦れ具合や濃淡をリアルに表現し、織り表現の面白さとして裏側の表情を一部表に出して更なる複雑且つユニークなテクスチャーを加え、更に生地は経年変化はしてもテキスタイルとしてのクオリティは良くはなっても劣化はしないというアドヴァンテージを積み上げた生地を完成させました。
ベース色に対しアクションペイントを表現するのに6色を使っておりますが、6色という事はアクションペイントをダイレクトに表現した表側の表現と裏側に出る表情を敢えて表側に出した裏側の表現を組み合わせると、12通りの表現がこの生地には為されております。しかも確かにアクションペイントでありながら花の様なイメージの部分もあり、それでいてベースが落ち着いた色である事もあってかなりな多色(多種)表現になっているのにバランスの取れた美しいテキスタイルに仕上がっております。
その生地を使ってバランスの良いシングルブレストのジャケットにしておりますが、総裏仕立てなので一重の綿のカバーオールに対して裏地がある分暖かいのでこの時期から夏を除く3シーズン対応になっております。そしてポケットをフラップに、ラペルをピークドラペルにする事でアクションペイントをデザインソースにした多色使いのカジュアルな生地を使ったジャケットをフォーマルに寄せております。モード的ディフォルメやデコレートといった変則ディテールではなく、モードアプローチからのパターンワークではありますが運動量をしっかり取りつつシャープに見える完成度の高いシルエットのミニマルなテーラードジャケットと凝りに凝ったアーチスティックな生地と組み合わせて作られたこのジャケット、ジーンズ&白シャツと組み合わせるとアンディウォーホル(現代アート作家)を彷彿とさせ、よりドレッシーなコーデュロイパンツやツィードのパンツとフランネルのシャツを組み合わせると印象派ぐらいのモネに代表される画家を彷彿とさせるスタイルになります。それでいて派手にはならず落ち着いた雰囲気になりますので、そんなコーディネートで美術館に行くと気分出るでしょうねぇ。サイズは1・2・3の3サイズ展開、価格は79,200円(税込)です。
今となってはテーラードジャケットを着ているだけでビジカジの範疇に入れてくれる会社もあるでしょうけど、私としてはビジカジを考えずにテーラードジャケットを楽しむという提案としてセレクトしております。オリジナリティに富んだ秀作ですので是非チェックしてみて下さいませ。
明日のアイテム紹介ですが、こんなジャケットを着たらこれぐらいの靴が良いな、という秋らしいブーツの銘作紹介を予定しております、お楽しみに。
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posted by mercier at 23:35|
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