到頭連続更新も20日で途切れました。とはいえ今日書く事を決めた時点で昨日のアップは諦めていたので想定の範囲内ではあるのですが。私は自分でもどちらかというと貧乏性だと認めております。ただお金のかけ方というか、自然や文化に対する敬意がなくても金を使えば得られる事に余り興味がないので、そういうところにお金をかけない、という意味なのだと、これまた自分では思っております。例えばそれがフレンチの代表作の1つであっても牛フィレ肉のステーキロッシーニ風をありがたいとはあまり思わないのです。これ上等な牛フィレ肉のステーキにフォアグラをソテーしたものを重ね、トリュフのソースをかけるという、まさに贅を尽くした逸品ですけど、季節感もヘッタクリもあったもんじゃありません。確かに美味しいですけどそれは贅を尽くした材料を積み重ねたからであって、いつ食べても同じです。ましてやそれを立ち食いで食べたからといって何が嬉しいのか。屋敷や宮殿から殆どでない王侯貴族にしてみれば、それが富と権力を実感出来る贅沢だったのかもしれませんが、我が国が培ってきた美意識や食に対する考え方とは方向性が異なります。美味いは美味いけど。
翻って今日は食ではなく子供を連れてお出掛けした先の話なのですが、日本人が海で夏を愛でるとしたらこういう方が良いんじゃないか、という話です。湘南江の島でも由比ケ浜でも逗子葉山でもなく、三浦海岸でもないだけでこんなにも楽しめますよ、という事で。
橋本から電車で出掛けると、湘南江の島で1時間強、三浦海岸で1時間半、由比ケ浜や逗子葉山で2時間弱といったところなのですが。あ、すいません、今回のお話は海に出会いを求める口の方には全くマッチしませんので悪しからず。逆に家族連れ、男だけ、彼女連れにはとても良いと思われます。
人の多いビーチはそもそもゴミゴミしています。そしてあまり水も綺麗じゃありません。でも皆さん商売上手です。趣向を凝らした海の家を出し、国道沿いでアクセスが良い。自治体もそもそも条例が取沙汰されるぐらい振興に努めております。しかしその海はサマーランドのプールとどんだけ違うんだ?って思ってしまいます。
今回敢えて場所は伏せます。しかし同じ神奈川県、そして所要時間は橋本から2時間はかかりません。かつては海水浴場として知る人ぞ知るという場所でした。ところが海水浴場は地元の漁協の方々が運営していたのですが、漁業従事者自体が減少の一途を辿り若者の参入もありません。とうとう最年少でも年金受給が見えている様な年齢になってしまい、元々海水浴の季節に出していた海の家はリタイアした方々がやっていたのですが、寄る年波でしんどくなってギブアップ。結果海水浴場としての申請を取り消し、今では国道にも案内標識すらないという状況になってしまいました。
当然コインシャワーもなく、4時に店を閉めてしまう農協の売店があるのみ。駅から海岸迄行く途中には夥しい民宿の看板があるのですが、ほぼ全て看板のみで営業はしていないと思われます。何しろネットで検索しても何処も引っ掛かりませんから。かつて海水浴場だった頃、25年程前に行った事があり、その後もチョロチョロと行ってはいたのですが、久しぶりに昨年行ったらびっくり、後にモーターをつけた小さな漁船が3隻程浜に上げられた無人の砂浜が佇んでおりました。
ですが全くお金のかからないところなんです、ここ。かつての名残で公衆トイレだけは3ヶ所もあり、誰もいなくなった今でも水は出ます。なのでペットボトル数本あれば、そこで水を汲んで帰りしなに砂と塩を落として着替えて帰るぐらいは出来ます。端の方には磯もあり、砂浜は遠浅ですが、人工ではなく貝殻が砕けたもの等が堆積した砂です。キンキンに冷やした飲み物と食べる物を駅前のコンビニで調達して歩く事20分弱。海水浴客が来ない=ゴミを捨てる不届き者がいない、そして漁協と農協が並んでいるぐらいで畑が海の間際迄来ているので、人口密度が異様に低くて排水等もない。その結果海水もとても同じ県下の海とは思えない美しさです。

透明度が高くゴミが全く無い海、今回は我々以外に地元の中学生グループが堤防の脇で飛び込みをしていたのと、子連れの家族が1組いただけでした。なのでご覧の通りの静かな海です。外海に面しているのに何故かとても波も穏やかで、子連れでも安心して放置出来ます。放置させてはくれませんが。遮るところの何もない場所なので、パラソル等がないと波の来ない砂の上はとんでもない暑さになっていますが、海に入ってしまえばまぁ快適です。磯場には結構な大きさの蟹やツブ貝や牡蠣等がいますけど、漁業権が設定されていますので勝手には取れません。そしてフジツボが付かないエリアで、砂浜からそのまま磯になっていますから磯の岩陰に荷物は置いて照りつける太陽熱から守ります。で、今回ちょっとびっくりしたのは、本当に暑かったからなのですけどアスファルトや砂浜はとても素足で歩ける状況ではありません、で、海から上がって荷物のある堤防近くの磯の方に行くと、あらびっくり。

なんと満ち潮でちょっとだけ海水が入る岩の隙間で、灼熱の砂浜とアスファルトをヤケドしちゃうから歩くに歩けない猫がちょこっとだけの海水に浸かって涼んでいるじゃありませんか。猫が自分から海で行水をするなんて初めて見てしまいました。1つ誤算だったのは子供が周囲の人を気にせず完全に自由にして良い海なんてそうそうないので、5時間ぶっ通しで遊び続けた事。岩陰で涼む間もなく泳ぎ続けていたのですが、子供は学校のプール等で下焼きが出来てますからなんともなかったのですが、炎天下表を歩く事自体それ程でもない私は、昨夜は日焼けの痛みに寝るに寝れない様な夜でした。
ちなみに途中途中で様子を見に行っていたらこの猫えらく懐いてしまい、着替えて帰ろうとしていたら漸くギリギリ歩ける温度になった砂の上を歩いて近くに来て、そしたら何処から来たのか仲間がこれまた寄ってきて、500mぐらい帰りは猫が数匹犬の様にお供について来たという事態に。塒にしているであろう神社の近く迄お見送りしてくれたのか、方向が偶々同じだったのか。帰り道国道に出る迄の20分弱、人に全く出会わなかっただけにほのぼのとした気分になりました。漁港という事になっていましたがタコ漁の網籠を設置しにいく老ご夫婦以外は全く誰もおらず。このまま更に寂れて荒れていくのでしょうか・・・・
まぁこのビーチ、安上がりにプライベートビーチ気分を味わえ、喧噪とは無縁な日本らしい自然豊かな海を満喫出来ます。そしてアクセスもそう悪くはありません。1回しか乗換えてないし。クラゲもこの時期にまだ1匹もいなかったですし、ベタ凪なところなのでサーファーもいません。漁師さんの家でやっている(た)であろう民宿、今度は電話番号でもメモしてきて、泊まらせてくれるものであればノンビリ1泊してきても良いかもしれません。店頭では場所もお教えしますので(不特定多数に把握されるとこのプライベート感はなくなってしまうでしょうから)、芋洗いの様な海水浴ではなくのんびりと過したい方は訊いて下さいませ。日焼けの痛みに耐えながら、今回はこんな感じで。